相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の書き方や記載例を解説
相続税申告書の第11表には相続税がかかる財産についての情報を記載します。しかし、記載方法が難しく、書き方でお悩みの方が多くいらっしゃいます。
今回は相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の書き方や記載例について解説します。
もし、自分で申告書を簡単に作成したい場合は『better相続申告』のご利用をおすすめします。フォームに情報を入力すれば自動で申告書が作成されるため、申告書の書き方などを調べる必要はありません。
目次
- 令和6年度から相続税申告第11表が改訂
- 相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の書き方
- 相続税申告書第11表の付表1(土地・家屋等用)の書き方
- 相続税申告書第11表の付表2(有価証券用)の書き方
- 相続税申告書第11表の付表3(現金・預貯金等用)の書き方
- 相続税申告書第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)の書き方
- 相続税申告書第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)
- 相続税申告書第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)
- 相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の記入例・記載例
- 令和6年度の相続税申告書第11表は国税庁のホームページでダウンロード可能
- 国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがない
- 国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もない
- 相続税申告書を自分で簡単に作成するなら『better相続申告』がおすすめ
令和6年度から相続税申告第11表が改訂
令和6年度から相続税申告書第11表が大きく改訂され、記載方法が変わりました。令和5年度までは相続税の対象となる財産について第11表にまとめて記載していたのですが、令和6年度からは財産の種類ごとに付表が分かれるようになり、作成する枚数は合計5枚となりました。
これは各財産の種類別に所在場所や数量等の記載方法を明確化し、申告書作成の利便性向上を図ることを目的としています。
なお、相続する財産の種類によって付表を作成するため、該当する種類の財産がない場合は付表を作成する必要はありません。
相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の書き方
相続税申告書第11表は「相続税がかかる財産の合計表」です。
上部は「1.遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」、下部は「2.取得財産の価額の合計表」という構成になっています。
まずは「1.遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」を記載し、他の付表を作成してから「2.取得財産の価額の合計表」を記載して完成させます。
1.遺産の分割状況及び財産取得者の一覧
「1.遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」は「遺産の分割状況」「分割の日」「財産取得者の一覧」で構成されています。
各項目に必要な情報を記載します。
遺産の分割状況
相続税申告書を提出する際の遺産の分割状況を選択し、数字で記載します。
遺産分割が完了していれば1を、まだ分割が完了していない財産があれば2を、分割が全く終わっていない場合は3を選択します。
2と3を選択する場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、控除や特例が適用できるようにしておくことをおすすめします。提出しない場合、控除や特例が適用できなくなる可能性があります。
分割の日
遺産の分割状況で全部分割、一部分割を選択した方は遺産分割協議書の作成日付に合わせて記載します。
なお、遺言書の内容通りに分割する場合、相続発生日を記載します。
財産取得者の一覧
相続や遺贈により財産を取得した人の氏名と項番を記載します。
項番と財産を取得した人の氏名は連動しており、第11表の付表で利用します。
例えば、「相続花子」の項番が1、「相続次郎」の項番が2の場合、項番1=相続花子、項番2=相続次郎として扱われます。
2.取得財産の価額の合計表
相続税申告書第11表の付表1~4までを作成したら、第11表の「2.取得財産の価額の合計表」に情報を記載します。
「2.取得財産の価額の合計表」には「財産を取得した人の番号」「分割財産の価額」「未分割財産の価額」「取得財産の価額」を記載します。
財産を取得した人の番号
「1.遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」の「財産取得者の一覧」で記載した項番を1から順に記載します。
「財産取得者の一覧」で記載した項番=「財産を取得した人の氏名」となっています。
分割財産の価額
遺産分割が完了した財産を誰がいくら相続したのか記載します。
財産を取得した人の番号に合わせて分割財産の価額を記載します。第11表の付表1~4で記載した内容をもとに、相続人ごとに取得した財産の合計額を算出して記載します。
未分割財産の価額
分割財産の内、未分割の財産がある場合は、その価額を記載します。
取得財産の価額
「分割財産の価額」と「未分割財産の価額」で記載した価額の合計を記載します。
相続税申告書第11表の付表1(土地・家屋等用)の書き方
相続税申告書第11表の付表1には土地や家屋などに関する情報を記載します。相続する財産に不動産がなければ、作成不要です。
土地や建物ごとに記載するため、1枚に収まらない場合は、もう一枚用意し、記載していきます。
第11表の付表1は「財産の明細」と「分割が確定した財産」で構成されています。
財産の明細
「財産の明細」には「項番」「細目」「所在場所」「面積(㎡)」「単価(円)又は倍数」「価額(円)」などの情報を記載します。
項番
項番を数字で記載します。
細目の列
「細目」の列には「細目」「利用区分」「国外」「特例」「備考」を記載します。
細目
相続した不動産の細目を記載します。不動産の種類について以下から選び、記載します。
- 田
- 畑
- 宅地
- 山林
- その他の土地
利用区分
その不動産がどのように利用されているのか記載します。どの利用区分に該当するのかはこちらからご確認いただけます。
国外
国内にある不動産の場合は空欄にします。国外にある場合は「1」と記載します。
特例
不動産に特例を適用した場合、適用した特例に応じた数字を記載します。記入する数字は以下の通りです。
適用した特例 | 数字 |
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 | 1 |
特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例 | 2 |
特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例 | 3 |
相続税又は贈与税の計算 | 4 |
その他の特例 | 該当する特例の条文番号などを記載 |
備考
区分所有財産の場合、備考へ敷地利権(敷地権)の割合を記載します。それ以外の場合は空欄にします。
所在場所
財産の所在する場所を記載します。「上段」「中段」「下段」でそれぞれ記載する項目が異なります。
なお、記載する際は登記簿謄本に記載されている住所を参照します。
上段
上段の左側には都道府県、右側には市区町村名を記載します。
中段
中段には大字・丁目を記載します。
下段
下段には地番又は家屋番号を記載します。
面積の列
面積の列には「面積(㎡)」と「固定資産税評価額(円)」を記載します。
面積(㎡)
土地の面積を記載します。単位の記載は不要です。
固定資産税評価額(円)
倍率方式で評価する土地や家屋・構築物の場合、固定資産税評価額を記載します。
路線価方式の場合は空欄にします。
単価(円)又は倍率の列
「単価(円)又は倍率」の列には「単価(円)又は倍率」「持分割合」「価額(円)」を記載します。
単価(円)又は倍率
「単価(円)又は倍率」には路線価、もしくは倍率を記載します。
路線価の場合、補正率などを適用した後の路線価を記載します。
倍率方式の場合、倍率表に記載された数字を記載します。家屋・構築物の場合は「1」と記載しますが、調整率がある場合はその調整率を記載します。
持分割合
「持分割合」には相続した不動産の内、被相続人の持分割合を記載します。なお、被相続人が単独で所有していた場合は空欄にします。
価額(円)
相続する不動産の評価額を記載します。
土地の場合、補正率などを適用した際の金額を記載します。小規模宅地等の特例を適用した場合、適用後の評価額を記載します。
分割が確定した財産
「分割が確定した財産」には「財産を取得した人の番号」「取得財産の価額(円)」を記載します。
財産を取得した人の番号
「財産を取得した人の番号」には財産を取得した人の番号を記載します。
第11表の「遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」で記載した「項番」と「財産を取得した人の氏名」を確認して記載します。
取得財産の価額(円)
「取得財産の価額(円)」には、「財産を取得した人の番号」で記載した人がいくら相続するのか記載します。
相続税申告書第11表の付表2(有価証券用)の書き方
相続税申告書第11表の付表2(有価証券用)には、上場株式や投資信託などの有価証券に関する情報を記載します。
株式や投資信託は1銘柄ごとに記載するため、1枚に収まらない場合は、もう一枚用意し、記載していきます。
相続税申告書第11表の付表2(有価証券用)は「財産の明細」と「分割が確定した財産」で構成されています。
財産の明細
「財産の明細」は、「項番」「細目」「所在場所等」「数量」「為替(円)」「価額(円)」などを記載します。
項番
項番を数字で記載します。
口座種別等
「細目」の列には「細目」「銘柄」「国外」「特例」「備考」を記載します。
細目
有価証券の種類ごとに細目を記載します。
細目の詳細は国税庁のホームページでご確認いただけます。
細目 |
特定同族会社の株式、出資(配当還元方式) |
特定同族会社の株式、出資(その他の方式) |
その他の株式、出資 |
公債、社債 |
証券投資信託、貸付信託の受益証券 |
銘柄
有価証券の銘柄名を記載します。上場株式であれば「〇〇(株)」、投資信託であれば「〇〇インデックスファンド」などです。
外国株式など円以外の通貨で評価されている場合、通貨名も記載します。
国外
取得した有価証券の所在場所が国外の場合は「1」を記載します。
なお、外国株式などを保有している場合でも、取得したのが国内にある金融商品取引業者の営業所などに設けられた口座において管理されたものであれば、空欄にします。
特例
財産に特例を適用した場合、該当する特例に応じた数字を記載します。適用しない場合は空欄にします。
特例 | 番号 |
特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例 | 3 |
その他の特例 | 該当する特例の
条文番号等を記入 |
備考
有価証券番号、証券会社などの口座番号が分かる場合は番号を、名義財産の場合は口座の名義を記載します。
通常は空欄で問題ありません。
所在場所
「所在場所」には証券会社名や支店名を記載します。
「上段」には金融商品取引業者等の名称を、「中段」には支店等の名称を、「下段」にはその他(発行法人の所在地等)を記載します。
なお、中段は支店などがある場合、下段は証券会社を通していないなどの取引業者が一般的でない場合に記載します。
数量・為替
「数量」「為替」の列には「数量(株・口・円)」「為替(円)」「単価」「価額(円)」を記載します。
数量(株・口・円)
株式の場合は株数を、投資信託の場合は口数を記載します。
国債など数量がない場合は空欄にします。
為替(円)
外国株式など外国為替によって評価が行われる財産を相続する場合、円に換算した際の相続発生日時点の為替レート(TTB)を記載します。
単価
1数量あたりの単価を記載します。単価の後ろには通貨名を記載します。国内株式などであれば円を、米国株式の場合は「ドル」などと記載します。
なお、投資信託の場合、証券会社によっては1万口あたりの評価額が表示されていることがあるため、その場合は1口あたりの評価額を計算して記載しましょう。
価額(円)
「価額(円)」には財産の評価額を記載します。通常は数量×単価で算出します。なお、外国株式などの場合は円換算で評価額を記載します。
「価額(円)」の欄には「円」を記載する必要はありません。
分割が確定した財産
「分割が確定した財産」には「財産を取得した人の番号」「取得財産の価額(円)」を記載します。
財産を取得した人の番号
「財産を取得した人の番号」には財産を取得した人の番号を記載します。
第11表の「遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」で記載した「項番」と「財産を取得した人の氏名」を確認して記載します。
取得財産の価額(円)
「取得財産の価額(円)」には、「財産を取得した人の番号」で記載した人がいくら相続するのか記載します。
有価証券は1円単位で分割できないことが多いため、誰が何割取得するのか決め、割合に応じた取得金額を記載します。なお、円換算した評価額で分割を行い、記載します。
相続税申告書第11表の付表3(現金・預貯金等用)の書き方
相続税申告書第11表の付表3(現金・預貯金等用)には、現金や預金に関する情報を記載します。
口座ごとに記載するため、1枚に収まらない場合は、もう一枚用意し、記載していきます。
相続税申告書第11表の付表3(現金・預貯金等用)は「財産の明細」と「分割が確定した財産」で構成されています。
財産の明細
「財産の明細」は、「項番」「口座種別等」「所在場所等」「数量」「単価(円)」「価額(円)」などを記載します。
項番
項番を数字で記載します。
口座種別等
「口座種別等」の列には「口座種別等」「口座番号」「国外」「備考」を記載します。
口座種別等
口座の種類を記載します。以下から該当するものを選び、記載します。
種類 |
現金 |
普通預金 |
当座預金 |
定期預金 |
通常貯金 |
定額貯金 |
金銭信託 |
その他(積立定期預金、貯蓄預金、通知預金等) |
その他 |
口座番号
預金の口座番号を記載します。現金の場合は空欄にします。
国外
営業所または事業所が国外にある場合、「1」を記載します。国内の金融機関や営業所が国内にある場合は空欄にします。
備考
名義預金がある場合は誰の名義なのかここに記載します。
所在場所
「所在場所」の上段には金融機関等の名称を、中段には支店等の名称を、下段にはその他(所在地等)を記載します。
下段は取引業者が一般的ではない場合に記載します。
現金の場合、所在場所の記載は任意です。
「数量」「単価(円)」
「数量」「単価」の列には、「「数量」「単価(円)」「価額(円)」があります。
外貨がある場合、いくらあるのか「数量」に記載します。例えば、50,000ドルが預金にある場合、50,000ドルと記載します。「単価」には円換算した際の相続発生日時点の為替レート(TTB)を記載します。
「価額(円)」には、現金や預金がいくらあるのか記載します。外貨の場合は円換算した際の金額を記載します。
分割が確定した財産
「分割が確定した財産」には「財産を取得した人の番号」「取得財産の価額(円)」を記載します。
財産を取得した人の番号
「財産を取得した人の番号」には財産を取得した人の番号を記載します。
第11表の「遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」で記載した「項番」と「財産を取得した人の氏名」を確認して記載します。
取得財産の価額(円)
「取得財産の価額(円)」には、「財産を取得した人の番号」で記載した人がいくら相続するのか記載します。
相続税申告書第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)の書き方
相続税申告書第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)には第11表の付表1~3以外の財産について記載します。課税対象となる生命保険や家財などは第11表の付表4に該当します。
相続する財産の種類が多く、1枚に収まらない場合はもう一枚用意し、記載します。
相続税申告書第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)は「財産の明細」と「分割が確定した財産」で構成されています。
財産の明細
「財産の明細」は「項番」「細目」「財産の名称等」「数量・倍数」などを記載します。
項番
項番を数字で記載します。
細目の列
「細目」の列には「細目」「特例」「国外」「備考」を記載します。
細目
財産ごとに細目を記載します。細目は以下から選んで記載します。
細目 |
機械・器具・農機具・その他の減価償却資産 |
商品・製品・半製品・原材料・農産物等 |
売掛金 |
その他の財産 |
家庭用財産 |
生命保険金等 |
退職手当金等 |
立木 |
代償財産 |
生命保険(共済)契約に関する権利 |
暗号資産 |
貸付金、預け金等 |
配当期待権 |
その他 |
詳細は国税庁のホームページからご確認いただけます。
特例
財産に特例を適用している場合、特例に応じた番号を記載します。
特例 | 番号 |
特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例 | 2 |
相続税又は贈与税の計算 | 4 |
上記以外のその他の特例 | 該当する特例の条例番号などを記載 |
国外
財産の所在地が国外にある場合は「1」を記載します。国内にある場合は空欄にします。
備考
被相続人以外の名義であるものの、被相続人のものとして相続税の対象となる場合は名義人の名前を記載します。
名義財産でなければ空欄にします。
財産の名称等
「財産の名称等」の列には「財産の名称等」「財産の所在地等」を記載します。
財産の名称等
「財産の名称等」には財産の名称を記載します。例えば、「仮想通貨」「後期高齢者医療保険料過誤納金」などがあります。
財産の名称は多岐に及ぶため、国税庁のホームページにある資料を見ながら記載します。
財産の所在地等
「財産の所在地等」には財産がどこにあるのか記載します。例えば、仮想通貨であれば取引事業者名、還付金であれば役所名を記載します。
数量・倍数
「数量・倍数」の列には「数量」「倍数」「単価(円)」「価額(円)」を記載します。
数量
財産の数量を記載します。財産の種類によって記載が不要な場合もありますので、その際は空欄にしておきます。
単位が必要な場合は記載します。例えば、立ち木の場合、「ha」を付けます。
倍数
倍数がある場合は記載します。不要な場合は空欄にしておきます。
単価(円)
1単価あたりの金額を円換算で記載します。
単価がない場合は空欄にしておきます。
価額(円)
財産がいくらなのかを円換算で記載します。
分割が確定した財産
「分割が確定した財産」には「財産を取得した人の番号」「取得財産の価額(円)」を記載します。
財産を取得した人の番号
「財産を取得した人の番号」には財産を取得した人の番号を記載します。
第11表の「遺産の分割状況及び財産取得者の一覧」で記載した「項番」と「財産を取得した人の氏名」を確認して記載します。
取得財産の価額(円)
「取得財産の価額(円)」には、「財産を取得した人の番号」で記載した人がいくら相続するのか記載します。
相続税申告書第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)
相続税申告書第11の2表は相続時精算課税制度を適用して被相続人から贈与を受け、相続税の対象となる場合に記載します。
2024年以降に相続時精算課税の基礎控除以下で贈与を受けた財産は相続時の加算が不要となるため、記載不要となりますが、それ以前の贈与と基礎控除額を超えた相続時精算課税適用財産がある場合は記載が必要となります。
なお、贈与を受けた人ごとに申告書を作成するため、複数名の受贈者がいる場合は第11の2表を複数枚作成します。
相続税申告書第11の2表は「1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細」と「2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細」で構成されています。
1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細
「1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細」には「番号」、①「贈与を受けた年分」、②「贈与税の申告書を提出した税務署の名称」、③「①の年分に被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受けた財産の価額の合計額」、④「③から控除する相続時精算課税に係る基礎控除額」、⑤「相続時精算課税適用財産の価額」、⑥「③の財産に係る贈与税額(贈与税の外国税控除前の金額)」、⑦「⑥のうち贈与税額に係る外国税額控除額」で構成されています。
番号
上から順に1、2、3…と記載します。
贈与を受けた年分
贈与を受けた年を記載します。西暦でも和暦でもどちらでも構いません。
贈与税の申告書を提出した税務署の名称
相続時精算課税制度を適用するために贈与税の申告を行った税務署の名称を記載します。
①の年分に被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受けた財産の価額の合計額
①で記載した年に相続時精算課税で受けた贈与の合計金額を記載します。
③から控除する相続時精算課税に係る基礎控除額
2024年に相続時精算課税を適用して受けた贈与に110万円の基礎控除が設けられました。そのため、2024年以降に受けた贈与に関しては、ここへ110万円を記載します。
ただし、複数人から相続時精算課税を適用して贈与を受けた場合、基礎控除額が按分されるため、その場合は110万円ではなく、按分した金額を記載します。
相続時精算課税適用財産の価額
③から④を引いた金額を記載します。計算結果がマイナスになる場合は「0」を記載します。
③の財産に係る贈与税額(贈与税の外国税控除前の金額)
相続時精算課税を適用して贈与税を支払っていた場合、支払った贈与税の金額を記載します。なお、利子税や延滞税、加算税の額は含まれません。
⑥のうち贈与税額に係る外国税額控除額
贈与税の外国税額控除がある場合、控除額を記載します。外国税額控除がない場合は空欄にします。
2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細
「2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細」は「番号」「贈与年月日」「相続時精算課税適用財産の明細」で構成されています。
番号
上から1、2、3…と順に記載します。
贈与年月日
贈与を受けた年月日を記載します。西暦でも和暦でも構いません。
相続時精算課税適用財産の明細
「相続時精算課税適用財産の明細」には「種類」「細目」「利用区分、銘柄等」「所在場所等」「数量」「価額」を記載します。
種類
贈与を受けた財産の種類を記載します。「現金」「預貯金」などのように記載します。
細目
贈与を受けた財産の細目を記載します。「現金」「預貯金」などのように記載します。
利用区分、銘柄等
贈与を受けた財産の利用区分や銘柄などを記載します。「普通預金」「〇〇(株)」などのように記載します。
所在場所等
贈与を受けた財産の所在場所などを記載します。「〇〇銀行〇〇支店口座番号××」などのように記載します。
数量
贈与を受けた財産に数量がある場合は記載します。現金や預金など数量がない場合は空欄にします。
価額
贈与を受けた財産の価額を記載します。相続発生時の価額ではなく、贈与を受けた時点の価額を記載します。
相続税申告書第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)
相続税申告書第11・11の2表の付表1では小規模宅地等の特例について記載します。小規模宅地等の特例を適用しない場合は作成不要です。
相続税申告書第11・11の2表の付表1は「1.特例の適用にあたっての同意」「2.小規模宅地等の明細」「限度面積要件の判定」で構成されています。
1.特例の適用にあたっての同意
ここでは小規模宅地等の特例の対象となり得る宅地等を取得した人全員の氏名を記載します。
2.小規模宅地等の明細
「2.小規模宅地等の明細」では、小規模宅地等の種類や相続人の情報、土地の評価額などを記載します。
小規模宅地等の種類
以下の種類のうち、あてはまる番号を記載します。
小規模宅地等の種類 | 番号 |
特定居住用宅地等 | 1 |
特定事業用宅地等 | 2 |
特定同族会社事業用宅地等 | 3 |
貸付事業用宅地等 | 4 |
相続人の情報や土地の評価額など
相続人の情報、土地の評価額などを①~⑧までに記載します。
①には特例の適用を受ける取得者の氏名、②には土地の所在地番、③には取得者の持分に応ずる宅地等の面積、④には取得者の持分に応ずる宅地等の価額、⑤には③のうち小規模宅地等の面積、⑥には④のうち小規模宅地等の価額、⑦には課税価格の計算に当たって減額される金額、⑧には課税価格に算入する価額を記載します。
左側には宅地の情報を、右側には小規模宅地等の特例を適用した際の評価額の計算結果を記載します。
限度面積要件の判定
小規模宅地等の種類によって減額できる土地の面積が決まっています。その計算過程をここ記載します。
当てはまる小規模宅地等の種類へ土地の面積を記載し、申告書の内容に従って計算結果を記載します。
相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の記入例・記載例
相続税申告書第11表の記入例や記載例をご紹介します。
主な財産の記載例を付表ごとに画像付きで紹介しています。
第11表の付表1(土地・家屋等用)の記載例
まずは第11表の付表1(土地・家屋等用)です。
自用地の記載例
自用地(小規模宅地等の特例を適用)の記載例
貸家建付地の記載例
山林の記載例
自用家屋の記載例
貸家の記載例
第11表の付表2(有価証券用)の記載例
次は第11表の付表2(有価証券用)です。
上場株式の記載例
海外株式の記載例
投資信託の記載例
出資金の記載例
国債の記載例
社債の記載例
第11表の付表3(現金・預貯金等用)の記載例
次は第11表の付表3(現金・預貯金等用)です。
現金の記載例
普通預金の記載例
定期預金の記載例
名義預金の記載例
海外口座の記載例
第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)の記載例
最後は第11表の付表4(事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用)です。
家財一式の記載例
自動車の記載例
生命保険等の記載例
退職手当金等の記載例
還付金の記載例
ゴルフ会員権の記載例
代償財産の記載例
令和6年度の相続税申告書第11表は国税庁のホームページでダウンロード可能
国税庁のホームページでPDF形式の相続税申告書の様式をダウンロードすることができます。第11表だけでなく、他の申告書もダウンロードできます。
また、税務署でも申告書を受け取ることができます。
国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがない
確定申告は国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」から簡単に申告することができますが、「相続税申告書作成コーナー」はありません。
そのため、簡単に相続税申告書を作成したい場合は民間のソフトを利用することになります。
e-taxで申告書を作成することもできますが、パソコンにソフトをダウンロードし、申告書の書き方を調べた上で数字を入力する必要があります。自動計算機能はないため、手書きとの違いはパソコン入力できるかどうか程度です。
また、e-taxは共同で申告書を作成することはできず、相続人ごとに申告書を作成することになるため、相続人が多ければ多いほど手間も時間もかかります。
国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もない
国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もありません。PDF形式になるため、パソコンで入力したい場合はPDF編集ソフトが必要です。
エクセルで申告書を作成したい場合は有料ソフトを購入することになります。しかし、士業向けに作られたものが多く、解説もほとんどないため、申告書の書き方や財産の評価方法などを把握していなければ正しい申告書を作成できません。
相続税申告書の第11表もエクセル形式がない
相続税申告書の第11表だけエクセル形式があるわけではなく、どの申告書もエクエル形式ではありません。
財産の評価額の計算やメモの機能としてならエクセルを使うことはできますが、申告書を作成するには難しいです。
相続税申告書を自分で簡単に作成するなら『better相続申告』がおすすめ
自分で簡単に相続税申告書を作成したい場合は『better相続申告』のご利用をおすすめします。
解説を見ながらフォームに情報を入力すると相続税申告書が自動で作成されます。相続税や非課税枠の計算も自動で行われるため、ミスを抑え、手間や時間を省くことができます。
何をすればいいのか調べる必要はなく、画面に表示された案内の通りに財産調査や必要書類を収集し、情報を入力すれば申告書が完成します。
財産調査も税理士が質問するような内容となっているため、税務署が気にする財産に気づき、申告漏れによる税務調査リスクを軽減できます。
また、書類のリストアップ機能もあるため、抜け漏れなく書類を収集し、税務署へ提出することもできます。
無料でお試しいただけますので、お気軽にご利用ください。