相続税申告書第11の2表の書き方や記載例を解説【相続時精算課税適用財産の明細書・相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書】

相続税申告書第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書・相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)の書き方などを解説

被相続人から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けており、それを相続税の対象となる財産に含めなくてはいけない場合に相続税申告書第11の2表を作成します。

今回は相続税申告書の第11の2表の書き方などについて解説します。

なお、『better相続申告』を使ってフォームに情報を入力すると自動で相続税申告書が作成されます。また、税額計算も自動で行われるため、手続きにかかる時間や手間を大幅に削減することができます。

自分で相続税申告をするなら『better相続申告』

目次

相続税申告書第11の2表とは

相続税申告書第11の2表とは

相続税申告書第11の2表は相続時精算課税制度を適用して被相続人から贈与を受け、相続税の対象となる場合に記載します。

2024年以降に相続時精算課税の基礎控除以下で贈与を受けた財産は相続時の加算が不要となるため、記載不要となりますが、それ以前の贈与と基礎控除額を超えた控除を受けた場合は記載が必要となります。

相続税申告書第11の2表を作成する際は贈与税の申告書を用意しておく

相続税申告書第11の2表を作成する際は贈与税の申告書を用意しておく

相続時精算課税によって受けた贈与について相続税申告書第11の2表に転記するため、過去の贈与税の申告書を手元に用意します。

なお、祖父母や親が知らないところで勝手に申告書を提出していて相続人が知らず、申告漏れが発生した場合、後日税務署から電話がくることも多くあります。

贈与税の申告書が手元に無かったり、贈与を受けたかわからなかったりした場合、開示請求を行い、申告漏れが無いようにしましょう。

相続税申告書第11の2表の書き方

相続税申告書第11の2表は贈与を受けた人ごとに申告書を作成するため、複数名の受贈者がいる場合は第11の2表を複数枚作成します。

相続税申告書第11の2表は「1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細」と「2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細」で構成されています。

基本情報

基本情報

相続税申告書の第11の2表の上部には、被相続人の氏名、贈与を受けた人の指名、被相続人から始めて相続時精算課税に係る贈与を受けた年分、相続時精算課税選択届出書を提出した税務署の名称を記載します。

1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細

「1.相続税の課税価格に加算する相続時精算課税適用財産の価額及び納付すべき相続税額から控除すべき贈与税額の明細」には「番号」「贈与を受けた年分」「贈与税の申告書を提出した税務署の名称」「①の年分に被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受けた財産の価額の合計額」「③から控除する相続時精算課税に係る基礎控除額」「相続時精算課税適用財産の価額」「③の財産に係る贈与税額」「③の財産に係る贈与税額(贈与税の外国税控除前の金額)」「⑥のうち贈与税額に係る外国税額控除額」で構成されています。

番号

番号

上から順に1、2、3…と記載します。

①贈与を受けた年分

①贈与を受けた年分

贈与を受けた年を記載します。西暦でも和暦でもどちらでも構いません。

②贈与税の申告書を提出した税務署の名称

相続時精算課税制度を適用するために贈与税の申告を行った税務署の名称を記載します。

③①の年分に被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受けた財産の価額の合計額

③①の年分に被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受けた財産の価額の合計額

①で記載した年に相続時精算課税で受けた贈与の合計金額を記載します。

④③から控除する相続時精算課税に係る基礎控除額

④③から控除する相続時精算課税に係る基礎控除額

2024年に相続時精算課税を適用して受けた贈与に110万円の基礎控除が設けられました。そのため、2024年以降に受けた贈与に関しては、ここへ110万円を記載します。

ただし、複数人から相続時精算課税を適用して贈与を受けた場合、基礎控除額が按分されるため、その場合は110万円ではなく、按分した金額を記載します。

例えば、祖母から300万円、父から200万円の贈与を受けた場合、祖母からの贈与に対する基礎控除は66万円、父からの贈与に対する基礎控除は44万円となります。

⑤相続時精算課税適用財産の価額

⑤相続時精算課税適用財産の価額

③から④を引いた金額を記載します。計算結果がマイナスになる場合は「0」を記載します。

⑥③の財産に係る贈与税額(贈与税の外国税控除前の金額)

⑥③の財産に係る贈与税額(贈与税の外国税控除前の金額)

相続時精算課税を適用して贈与税を支払っていた場合、支払った贈与税の金額を記載します。

⑦⑥のうち贈与税額に係る外国税額控除額

⑦⑥のうち贈与税額に係る外国税額控除額

贈与税の外国税額控除がある場合、控除額を記載します。外国税額控除がない場合は空欄にします。

2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細

「2.相続時精算課税適用財産(1の③)の明細」は「番号」「贈与年月日」「相続時精算課税適用財産の明細」で構成されています。

番号

番号

上から1、2、3…と順に記載します。

①贈与年月日

①贈与年月日

贈与を受けた年月日を記載します。西暦でも和暦でも構いません。

②相続時精算課税適用財産の明細

「相続時精算課税適用財産の明細」には「種類」「細目」「利用区分、銘柄等」「所在場所等」「数量」「価額」を記載します。

種類

種類

贈与を受けた財産の種類を記載します。「土地」「有価証券」などのように記載します。

細目

細目

贈与を受けた財産の細目を記載します。「宅地」「上場株式」などのように記載します。

利用区分、銘柄等

利用区分、銘柄等

贈与を受けた財産の利用区分や銘柄などを記載します。「普通預金」「〇〇株式会社」などのように記載します。

所在場所等

所在場所等

 贈与を受けた財産の所在場所などを記載します。「〇〇銀行〇〇支店口座番号××」などのように記載します。

数量

数量

贈与を受けた財産に数量がある場合は記載します。現金や預金など数量がない場合は空欄にします。

価額

価額

贈与を受けた財産の価額を記載します。相続発生時の価額ではなく、贈与を受けた際の価額を記載します。

相続税申告書第11表への記載例

相続税申告書第11の2表で取得した財産は基本的に第11表や付表には記載しません。そのため、第11表の「2.取得財産の価額の合計表」で算出する分割財産の価額は、相続時精算課税適用財産を除きます。

ただし、個人の事業用資産の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例や非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例、非上場株式の特例贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例を適用した場合、第11の2表ではなく、第11表の付表1、2、4表に記載します。

相続税申告書第15表への記載例

相続税申告書第15表への記載例

相続税申告書の第11の2表の⑧で算出した金額を、相続税申告書の第15表の「㉛相続時精算課税適用財産の価額」へ転記します。

相続人ごとに記載し、合計額を各人の合計へ記載します。

相続税申告書第1表への記載例

相続税申告書第1表への記載例

相続税申告書の第11の2表の⑧で算出した金額を、相続税申告書の第1表の「②相続時精算課税適用財産の価額」へ転記します。

また、相続税申告書の第11の2表の⑨で算出した金額を、相続税申告書の第1表の「②相続時精算課税分の贈与税額控除額」へ転記します。

相続人ごとに記載した後、各人の合計へ総額を記載します。

また、「取得原因」の「相続時精算課税に係る贈与」に〇をします。

還付を受ける場合は相続税申告書第1表の付表2も作成する

還付を受ける場合は相続税申告書第1表の付表2も作成する

相続時精算課税によって贈与を受けた人のうち、相続税申告によって税金の還付がある場合、相続税申告書第1表の付表2も作成します。

相続税申告書はどこからダウンロードできる?

相続税申告書はどこからダウンロードできる?

国税庁のホームページでPDF形式の相続税申告書の様式をダウンロードすることができます。第11の2表だけでなく、他の申告書もダウンロードできます。

また、税務署でも申告書を入手することが可能です。

亡くなった年度に適した申告書の様式に記載する

相続税申告書は年度によって様式が異なることがあります。亡くなった年度ごとに適切な様式を選び、そこへ記載することになります。

令和6年度以降に亡くなった場合は、令和6年度様式の相続税申告書を作成します。様式が変わった場合は、亡くなった年度に合わせた様式で作成しましょう。

国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがない

国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがない

確定申告は国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」から簡単に申告することができますが、「相続税申告書作成コーナー」はありません。

そのため、簡単に相続税申告書を作成したい場合は民間のソフトを利用することになります。

e-taxで申告書を作成することもできますが、パソコンにソフトをダウンロードし、申告書の書き方を調べた上で数字を入力する必要があります。自動計算機能はないため、手書きとの違いはパソコン入力できるかどうか程度です。

また、e-taxは共同で申告書を作成することはできず、相続人ごとに申告書を作成することになるため、相続人が多ければ多いほど手間も時間もかかります。

国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もない

国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もありません。PDF形式になるため、パソコンで入力したい場合はPDF編集ソフトが必要です。

エクセルで申告書を作成したい場合は有料ソフトを購入することになります。しかし、士業向けに作られたものが多く、解説もほとんどないため、申告書の書き方や財産の評価方法などを把握していなければ正しい申告書を作成できません。

相続税申告書をパソコン入力で作成するなら『better相続申告』がおすすめ

自分で簡単に相続税申告書を作成したい場合は『better相続申告』のご利用をおすすめします。

解説を見ながらフォームに情報を入力すると相続税申告書が自動で作成されます。相続税や非課税枠の計算も自動で行われるため、ミスを抑え、手間や時間を省くことができます。

何をすればいいのか調べる必要はなく、画面に表示された案内の通りに財産調査や必要書類を収集し、情報を入力すれば申告書が完成します。

財産調査も税理士が質問するような内容となっているため、税務署が気にする財産に気づき、申告漏れによる税務調査リスクを軽減できます。

また、書類のリストアップ機能もあるため、抜け漏れなく書類を収集し、税務署へ提出することもできます。

無料でお試しいただけますので、お気軽にご利用ください。

自分で相続税申告をするなら『better相続申告』

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