親が亡くなったらすることをリスト形式で解説
親が亡くなった場合、書類の提出や葬儀、相続の手続きなど様々なことを行う必要があります。
一般的に、親が亡くなった際の手続きは人生で1~2回程しか経験しないため、いつまでに何をしなければならないのかわからない方がほとんどです。
今回は親が亡くなった際に行うことをリスト形式で解説します。行わなければいけない手続きなどを時系列順に解説していますので、ぜひお気に入りなどに登録して、必要な時に読み返していただけますと幸いです。
親が亡くなった際に行う手続きリスト
行うまでの期限 | 内容 |
すぐに行う(1週間以内が目安) | ・死亡診断書の入手 ・死亡届と火葬許可書の提出 ・訃報の連絡 ・エンディングノートなどを探す ・葬儀社への連絡 ・葬儀、あいさつ回り ・納骨 |
14日以内 | ・住民票の世帯主変更届を役所に提出する ・国民健康保険の資格喪失届を役所に提出する ・介護保険の資格喪失届を役所に提出する ・年金受給権者死亡届を提出する |
早めに着手しておきたいこと | ・公共料金などの解約や引き落とし先の変更を行う ・財産の調査を行う ・金融機関へ口座凍結の連絡をする ・亡くなった親の保険金の請求を行う ・遺族年金の手続きを行う ・高額医療費の請求を行う ・亡くなった親の戸籍謄本を取得する ・遺言を確認する ・遺産分割協議や遺産分割協議書を作成する |
2か月以内 | ・四十九日法要 |
3か月以内 | ・遺産相続方法を決定する ・預貯金・有価証券等の解約や名義変更を行う ・各種財産の名義変更などを行う |
4か月以内 | ・準確定申告を行う ・青色申告承認申請書を提出する |
10か月以内 | ・相続税申告を行い、相続税を納付する |
1年以内 | ・一周忌 ・遺留分侵害額請求権の手続きを行う |
2年以内 | ・葬祭費の給付を受ける ・埋葬費の給付を受ける ・国民年金の死亡一時金を受け取る |
3年以内 | ・相続した不動産の名義を変更する(相続登記) |
親が亡くなってからすぐに行うこと(目安は1週間以内)
親が亡くなってから1週間以内に死亡に関する書類の提出と葬儀を行います。具体的に何を行うか解説します。
死亡診断書の入手
親が亡くなった際、人の死を証明する『死亡診断書』を受け取ります。病院で亡くなった場合や、診療している病気が原因で自宅にて亡くなった場合は、担当医から24時間以内に死亡診断書が発行されます。
診療を受けていない病気や事故などが原因で亡くなった場合は、警察医や監察医の検視後に『死体検案書』が渡されます。
死亡診断書は病院や施設などによって料金が異なり、3,000円~数万円が相場とされています。死体検案書の場合は3~10万円程度が相場です。
死亡届の提出と火葬許可書の受取
死亡診断書や死体検案書の左側に死亡届があり、死亡届へ故人の情報を記載する必要があります。死亡届は様々な手続きで使用するため、10枚程度コピーしておくことをおすすめします。
コピーが完了した後、故人の死亡地・本籍地または届出人の所在地の役所に死亡届を提出します。死亡届の届出には、原本と印鑑が必要です。後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者が届け出る場合は、登記事項証明書などが必要になることもあります。
死亡届の提出後、『火葬許可証』を受け取れます。自治体の窓口によっては『火葬許可証申請書』の記載が必要となります。
死亡届の提出と火葬許可書の受取は葬儀社が代行してくれることが多いため、プランを相談する際などに確認しておくことをおすすめします。
訃報の連絡
亡くなった親と特に関係が深かった方や親族、現在の勤め先などへ亡くなったことを連絡します。メールだと相手に伝わらない可能性があるので、電話で訃報の連絡をすることをおすすめします。
訃報の連絡は親が亡くなったことを早く伝えることが目的ですので、葬儀の日程などが決まり次第、その旨の連絡を行います。
親族など以外の方については、葬儀の日程が決定してから連絡をしても大きな問題はありません。
エンディングノートなどを探す
死後の準備していた方は、エンディングノートを作成していることがあります。
エンディングノートには、葬儀の方法やお墓、遺影などについて記載されている可能性があるため、部屋などを探し、見つけることをおすすめします。
なお、エンディングノートではなく、自筆証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所の検認が必要となるため、その場で開封しないよう、ご注意ください。
葬儀社への連絡
エンディングノートなどに葬儀社やプランの希望が書かれていた場合、その葬儀社へ連絡をします。希望がない場合は、葬儀社を探し、依頼を行います。
一般的に居住地で葬儀を行いますが、地元など遠方で行う場合は、火葬を居住地で行い、遺骨を地元へ運び葬儀を行うこともあります。
葬儀、あいさつ回り
葬儀社との話をまとめ、通夜、葬儀、告別式、火葬を行います。初七日法要も行うのですが、近年は葬儀と一緒に行うことが多いです。葬儀後は精進落としで参列者などをもてなし、参列者へ挨拶をして終了となります。
通夜など通常葬式にかかった費用は遺産総額から差し引くことができるため、領収書は保管しておきます。なお、香典返しや法事などの費用を遺産総額から差し引くことができません。
故人の預金から葬儀費用を払うこともできますが、葬儀費用以上に預金を引き出すと、単純承認(単純承認については後述しますのでそちらをご参考ください。)したものとみなされたり、あまりにも豪華な内容の葬儀を行うと、債権者の債権を減らして、お金をかけて葬儀を行ったとみなされ、相続放棄を認められなくなることがあります。
そのため、相続放棄を考えている方は注意が必要です。
納骨
火葬の終了後、納骨を行います。一般的には、先祖代々の墓に納骨されることが多いです。
お墓に入りたくないという意向の場合は、『永代供養』という、寺院や霊園が遺骨を管理する方法をおすすめします。散骨や樹木葬も永代供養の一種です。
親が亡くなってから14日以内に行うこと
葬儀の終了後、住民票や保険、年金などの手続きが必要となります。
14日以内に行わなければならない手続きが主に4つありますので、それぞれ解説します。
住民票の世帯主変更届を役所に提出する
亡くなった親が世帯主であった場合、住民票の世帯主変更届を、世帯主の居住地の役所へ提出します。
一般的に生計を立てる上で一番収入の多い方を世帯主にすることが多いため、親が健在であったとしても同居している子供が世帯主になることもあります。
なお、世帯に誰もいない、世帯に残る人が1人だけ、親と15歳未満が子供のみの世帯など、世帯主が明らかな場合は変更届を提出しなくても問題ありません。
国民健康保険の資格喪失届を役所に提出する
亡くなった親が国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者であった場合、資格喪失届を亡くなった親の居住地の役所へ提出します。
役所によっては、死亡届が提出されると同時に、国民健康保険の資格の喪失が行われることもあります。
他の世帯人が国民健康保険に加入していた場合、世帯主を変更する必要があるため、世帯主変更の手続きも一緒に行うをおすすめします。また、亡くなった方が国民健康保険に加入していた場合、葬祭費が給付されます。葬祭費の申請期限は2年以内ですが、このタイミングで併せて請求を行うと効率的です。
亡くなった親が社会保険に加入していた場合
親が勤め先の社会保険に加入している場合、死亡してから5日以内に資格喪失届を提出する必要があります。一般的に会社が対応してくれるため、死亡の連絡を勤め先へ行えば問題ありません。
亡くなった親の扶養に入っていた場合、扶養家族の保険証を返却する必要もあるため、返却方法を勤め先の会社に相談します。
また、故人の扶養となっていた方は、国民健康保険に加入する、他の方の扶養に入るなどの必要があります。
介護保険の資格喪失届を役所に提出する
亡くなった親が65歳以上、もしくは40~64歳で要介護・要支援認定を受けていた場合、介護保険の資格喪失届を提出する必要があります。
亡くなった親の住民票がある役所へ、介護保険資格喪失届出と介護保険被保険者証を提出します。
年金受給権者死亡届を提出する
亡くなった親が年金を受け取っていた場合、年金受給権者死亡届を年金事務所へ提出します。なお、マイナンバーが日本年金機構に収録されている場合は提出不要です。
亡くなった親が会社員や公務員であった場合、厚生年金に加入している可能性が高いです。厚生年金に加入していた場合、10日以内に年金受給権者死亡届を提出する必要があるため、早めに着手することをおすすめします。
マイナンバーの有無や手続きの詳細に関しては、年金事務所や年金相談センターが相談の窓口となります。
親が亡くなってから早めに着手すること(目安は1~2ヶ月)
公的な手続きが完了した後、利用していたサービスの解約や相続に向けた準備を行います。
亡くなった親が利用していたサービスの解約・支払先変更を行う
携帯電話や運転免許証など亡くなった親が利用しており、今後は不要となるものについて解約や返却を行います。親と同居しており、電気やガスなど、これからも使用するサービスの場合は、引き落とし口座や契約者の変更などが必要です。
解約等が必要なサービスについては以下のリストにまとめています。費用が発生しているものから優先的に対応することで、余計なお金を払わずに済みます。
遺品整理をして書類を見つける、通帳の引き落としの情報を見て把握するなどの方法で把握すると効率的です。
種類 | 依頼する場所 | 行うこと | 詳細 |
・電気 ・ガス ・水道 ・NHK |
・電力会社 ・ガス会社 ・水道局 ・NHK窓口 |
契約者名、支払方法の変更、または利用停止 | 検針票などのお客様番号を元に、ホームページや電話から手続きを行う。 |
・携帯電話 | ・各会社の店舗 | 解約 | 死亡がわかる書類や端末、身分証を持って店舗へ行き、手続きを行います。 |
・固定電話 | ・NTT | 加入権継承など | ホームページから書類をダウンロードし、郵送で手続きを行う。 |
・運転免許証 | ・警察署や運転免許センター | 返却 | 死亡を証明する書類、運転免許証、申請者の身分証を持って行く。 |
・パスポート | ・パスポートセンター | 返却 | パスポートと死亡を証明する書類を持って行く。 |
・クレジットカード | ・クレジットカード会社 | 解約 | インターネットや電話で解約手続きを行う。 |
財産の調査を行う
相続の手続きを進めるにあたり、亡くなった親がどの財産を保有していたのか把握する必要があります。遺言などに財産目録があれば、それに従って証拠となる書類等を集めます。財産目録が無い場合、遺品整理などで財産などを把握します。
また、遺品整理では把握しきれない不動産なども保有していた可能性があるため、法務局や役所などの機関にて関係書類を集めることもおすすめします。
後から財産や債務が出てくると、相続人同士で揉める、手続きが増えるなどのトラブルが起こる可能性があるため、すべて洗い出しておくようにしましょう。
預金 | 名義預金 | 株式など | 保険 |
現金 | 不動産 | 貸付金 | 死亡退職金 |
年金 | 未収金 | 家財 | 葬式費用 |
借入金 | 未払金 | 生前贈与 | その他 |
亡くなった親が口座を保有する銀行へ死亡の連絡を行う
亡くなった親の銀行口座は、通帳の記帳を行った後、銀行へ死亡の連絡を行います。これにより、銀行口座が凍結され、不正利用や他の相続人が勝手に口座からお金を引き出すことを防止できます。
なお、公共料金やクレジットカードを解約する前に凍結してしまうと、引き落としができなくなるため、注意が必要です。
凍結された口座は、手続きを行うことにより、解約や名義変更を行うことができますが、遺産分割協議書や遺言書が必要になることもあるため、相続手続きを進めてから行うことをおすすめします。
亡くなった親の保険金の請求を行う
亡くなった親が保険に加入していた場合、保険金の請求を行います。死亡保険金以外に、請求していない医療保険なども対象となります。
保険会社へ連絡し、必要書類を受け取ります。必要事項を記入し、返送することで請求を行えます。
保険金を受け取ることができる期限は3年ですが、相続税の計算に必要となるため、早めに請求を行うことをおすすめします。
遺族年金の手続きを行う
亡くなった親と残された家族の年齢や構成によって、遺族年金を受け取ることが可能です。
遺族年金受給の請求期限は5年ですが、生活費などに充てられるため、早めに手続きを行いましょう。
遺族基礎年金の場合
国民年金に加入しており、一定の要件を満たしていれば、遺族基礎年金を受給することができます。受給できる方は年金事務所で必要書類を提出することをおすすめします。
遺族厚生年金の場合
厚生年金に加入しており、一定の要件を満たしていれば、遺族厚生年金を受け取ることができます。
要件を満たしている方は、年金事務所へ必要書類を提出して遺族厚生年金を受給することをおすすめします。
亡くなった親の高額医療費の還付請求を行う
入院や手術などにより、支払う医療費がひと月で上限を超えた場合、上限を超えた金額を還付する制度を高額医療費制度といいます。上限は年齢や所得によって異なります。
もしも、親が亡くなる前に入院や手術を行い、上限を超える医療費を支払っている場合は、高額医療費の還付請求を行います。
請求期限は2年以内となっていますが、相続税の計算に必要となるため、早めに請求を行うことをおすすめします。請求は加入している保険組合へ行います。
亡くなった親の戸籍謄本を取得する
相続の手続きを行う場合や、相続人を調査する場合に必要となるのが戸籍謄本です。相続の場合、亡くなった親が出生してから死亡するまでの連続した戸籍謄本を取得する必要があります。
戸籍謄本は故人の本籍地がある役所で取得することができます。転籍や婚姻などにより、本籍地が異動している場合、転籍・婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改製原戸籍を取得する必要があります。
なお、戸籍法の一部を改正する法律が2019年に成立し、本籍地以外の市区町村で戸籍謄本の取得が可能となります。法務省によると、2024年度内の運用開始を目指しているとのことです。
亡くなった親の遺言書を確認する
亡くなった親が遺言書を作成していた場合、その内容に従って遺産分割などを進めます。まずは遺言書の有無を確認し、正しい手順に沿って内容を確認します。
亡くなった親が自筆証書遺言を作成していた場合
亡くなった親が自分で書いた遺言である『自筆証書遺言』を発見した場合、家庭裁判所へ検認を請求する必要があります。封のしてある自筆証書遺言を検認せずに開けてしまうと、過料を科される可能性があります。
検認の請求を行う場合、申立書や戸籍謄本、収入印紙代などが必要です。申立書を提出した人は家庭裁判所で検認の立ち合いを行う必要があります。
なお、2020年7月10日から自筆証書遺言を法務局で保管できるようになり、保管されていた自筆証書遺言は検認が不要です。保管されている遺言書の交付は、どの遺言書保管所でも可能なため、法務局で保管したなどの話があれば、交付手続きを行いましょう。
亡くなった親が公正証書遺言を作成していた場合
『公正証書遺言』は、公証役場で2人以上の証人の立ち合いのもと作成した遺言になるため、家庭裁判所による検認が不要です。
公正証書遺言を発見した場合は、その場で内容を確認することができます。
残った家族で遺産分割協議を行う、遺産分割協議書を作成する
亡くなった親が遺言書を作成していない場合や、遺言書にすべての遺産の分割方法が記載されていない場合には、遺産をどのように分割するのか、相続人全員で話し合います。
これを遺産分割協議といい、この協議で決まった内容をもとに遺産分割協議書を作成します。
親が亡くなってから2ヶ月以内に行うこと
親が亡くなってから49日目に行うのが、四十九日法要です。命日=1日目として、49日目の前後で日程調整を行い、法要するのが一般的です。
仏教において、49日目に来世が決まるとされており、そこで法要を行うことにより、極楽浄土へ行けるとされています。
なお、四十九日法要の費用は相続財産から控除することはできません。
親が亡くなってから3か月以内に行うこと
親が亡くなってから3か月以内に相続の方法を決定する必要があります。
相続の方法が決まり次第、銀行口座などの名義変更を行います。生活費などが必要な場合は早めに名義変更などを行い、忙しい場合は相続税申告などが終わってからでも問題ありません。
相続の方法を決定する
相続には『単純承認』『限定承認』『相続放棄』の3つの方法があります。
単純承認は、亡くなった親の財産と債務をすべて引き継ぐ相続の方法です。この場合、手続きを行う必要はありません。
限定承認は、亡くなった親のプラスの財産の範囲内で債務を引き継ぐという相続の方法です。例えば、債務が1,000万円、財産が800万円だった場合、財産の800万円と債務の800万円を相続することになります。
相続放棄は、財産や債務をすべて相続しないという方法です。
限定承認と相続放棄は家庭裁判所への申立申請が必要となります。相続放棄は単独でできますが、限定承認は相続人全員での申請が必要です。
預貯金・有価証券等の解約や名義変更を行う
相続の方法が決まった後、預貯金や有価証券などの解約や名義変更を行います。
遺言書や遺産分割協議書などの必要書類を準備し、銀行で手続きを行うことにより、解約や名義変更ができます。
証券口座に株式などの資産がある場合、証券会社へ連絡をし、名義変更手続きを行います。なお、名義変更には亡くなった親と同じ会社の証券口座を開設する必要があります。
各種財産の名義変更などを行う
自動車やバイクなど登録制となっている財産は、名義変更を行う必要があります。亡くなった親の自動車を相続する場合、警察署で車庫証明の申請を行い、運輸支局で名義変更の手続きを行います。
他にも、ゴルフ会員権などを相続する場合、必要であれば名義変更の手続きを行います。
親が亡くなったから4か月以内に行うこと
親が亡くなってから4か月以内に、準確定申告を行い、青色申告承認申請書を提出する必要があります。なお、対象となる方のみが行う手続きになるため、必要か確認することをおすすめします。
亡くなった親の準確定申告を行う
亡くなった親が確定申告の対象となっている場合、準確定申告を亡くなってから4か月以内に行います。
年金が400万円超ある方、自営業の方、不動産や株取引での収入がある方、給与所得が2,000万円を超える方などが準確定申告の対象となります。準確定申告を怠ると延滞税や加算税などが発生するため、期限内に提出しましょう。
また、医療費が10万円を超えた方、ふるさと納税を6か所以上で行った方、年の途中で退職して年末調整を受けていない方などは、準確定申告を行うと税金の還付を受けることができます。還付を受けることは義務ではありませんので、還付される金額と手間を勘案して、行うかどうかを判断することをおすすめします。
青色申告承認申請書を提出する
亡くなった親から事業や不動産経営を引き継ぐ場合、青色申告承認申請書を納税地を所轄する税務署へ提出します。一般的に納税者の住所地が納税地となります。
亡くなられた日が1月1日~8月31日なら死亡日から4か月以内、亡くなった日が9月1日~10月31日ならその年の12月31日まで、11月1日~12月31日なら翌年の2月15日までと期限が異なるため、注意が必要です。
また、親から事業を引き継ぎ、事業所得や不動産所得、山林所得が生じる事業を新しく行う場合は『個人事業開業届出書』の提出も必要となります。
親が亡くなってから10か月以内に行うこと
親が亡くなったことを知った日(通常の場合は、死亡の日)の翌日から10か月以内に相続税申告と相続税の納税を行います。
なお、相続税申告が必要か、相続税額は財産額などによって異なります。
相続税申告と納税を行う
財産が相続税の基礎控除を超える場合、相続税申告が必要です。
相続税申告書を作成し、必要書類とともに親の住所地を管轄する税務署へ提出します。電子申告も可能なため、税務署へ直接行かずに提出可能です。納税も郵便局や金融機関で行うことができます。
相続税申告は親が亡くなったことを知った日(通常の場合は、死亡の日)の翌日から10か月以内が期限となっており、申告をしない場合や期限内に申告が完了しない場合、無申告加算税や延滞税が科されます。
相続人が複数がいる場合、共同相続として1つの申告書を提出すれば問題ありません。相続人がそれぞれ個別に申告することもできますが、税務調査などのリスクが高くなるため、おすすめはしません。
相続税申告が必要かどうか
相続税申告が必要かどうかは、財産が基礎控除額を超えるかによって決まります。
基礎控除は【3,000万円+法定相続人の数×600万円】となっており、遺産総額が基礎控除額を超えた場合、相続税申告が必要となります。
「配偶者の控除(配偶者の税額軽減)制度」や「小規模宅地の特例」などによって相続税が0円になった場合でも、基礎控除額を超えていれば相続税申告が必要です。
相続税申告が必要かわからない方は、こちらで申告の要否を判定することができます。
相続税申告は自分でできる
相続税申告を行う方法は、税理士に依頼する、自分で行うの2択になります。
税理士に依頼すると、申告書の作成などを代行してくれるため、相続税申告の手間を省くことができます。その分、遺産の0.5~1%程度の報酬が発生します。
自分で相続税申告を行うと税理士費用を抑えることができます。その反面、書類集めや申告書の作成が必要となるため、税理士に依頼する時に比べて手間がかかります。
自分で相続税申告を行い、税理士に依頼する費用を抑えたい方へ『better相続申告』をおすすめします。『better相続申告』は、税理士のノウハウをシステムに落とし込み、初めての方でも簡単に相続税申告書が作成できるよう開発されたWebサービスです。
相続税申告を自分で行う方法は「相続税申告を自分で行うには?申告書を作成する方法や難しいケースを解説」の記事で解説しています。
親が亡くなってから1年以内に行うこと
親が亡くなってから1年以内に行うのは、一周忌法要と遺留分侵害額請求権の手続きです。
遺留分侵害額請求権の手続きは該当する場合に行います。
亡くなった親の一周忌法要を行う
一般的に、亡くなった親の1年目の命日に一周忌法要を行います。遺族や親族、亡くなった親の知人などが参列し、読経や焼香、食事を行います。
命日に一周忌法要を行うのが難しい場合、命日の前で日程を合わせるのがならわしとなっています。
遺留分侵害額請求権の手続きを行う
遺産を最低限受け取ることのできる権利を遺留分といいます。遺言書などで遺産をもらえない場合や、遺留分以下の金額しか受け取れなかった場合、遺留分を請求することができます。
「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」から1年以内が期限のため、遺留分を請求したい方は早めに行うことをおすすめします。
親が亡くなってから2年以内に行うこと
親が亡くなってから2年が期限となっている手続きが以下の3つです。
・埋葬費の給付を受ける
・国民年金の死亡一時金を受け取る
葬祭費の給付を受ける
亡くなった親が国民健康保険に加入していた場合、葬儀にかかった費用の一部を給付してくれます。金額は1~7万円で、市区町村によって異なります。
葬儀の領収書、亡くなった親の保険証、給付を受け取る人の銀行口座がわかる通帳など、申請者の印鑑、申請者の身分証を準備し
て、亡くなった親の居住地の市区町村で手続きを行います。
葬祭費は相続税の対象ではないので、落ち着いてから手続きしても問題ありません。国民健康保険の喪失届や、世帯主変更届の提出と一緒に行うと効率的です。
埋葬費の給付を受ける
亡くなった親が社会保険に加入していた場合や、親を扶養により社会保険に加入させていた場合、埋葬費を受け取ることができます。
資格喪失届は会社が行ってくれますが、埋葬費は自分で申請する必要があります。相続税の対象にならず、一緒に行う手続きもないため、落ち着いてから申請しても問題ありません。
国民年金の死亡一時金を受け取る
亡くなった親が自営業者や農業者、無職だった場合、国民年金の第1号被保険者となります。第1号被保険者で一定の要件を満たしており、遺族基礎年金の支給を受けられない場合に死亡一時金が支給されます。
国民年金死亡一時金請求書は、住所地の役所、または年金事務所や年金相談センターの窓口で提出を行えます。
親が亡くなってから3年以内に行うこと
2024年4月1日から相続登記が義務化されるため、2024年4月1日以降は、相続の開始及び相続により所有権を取得したことを知った日、または、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
なお、不動産の相続が発生しない場合は相続登記を行う必要はありません。
亡くなった親の不動産を相続したら相続登記を行う
相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続した方へ変更する手続きのことです。
2024年4月から相続登記が義務化され、相続により不動産の取得を知った日から3年以内、または遺産分割協議により不動産を取得が成立した時から3年以内に行わないと、10万円の過料を科される可能性があります。
相続登記を行わないと、所有移転登記をできないため、不動産の売買に滞りが出てしまいます。相続した不動産の売却を考えている方は、相続登記を早めに行うことをおすすめします。
相続登記は自分で行うことができる
相続登記を行う方法は、自分で行う方法と、司法書士などに依頼する方法の2つになります。
トラブルなく遺産を分割でき、土地の名義や相続関係などが複雑でなければ、相続登記を自分で行うことができます。自分で行うことにより、書類取得などの実費と登録免許税のみで相続登記を完了することができます。
相続関係などが複雑である場合や、手続きをすべて依頼したい場合は司法書士を利用します。相続人が行う作業は少ないため、手間は発生しませんが、10万円程度の費用が発生します。
費用を抑えるために自分で相続登記を行いたい方は、『better相続登記』のご利用をおすすめします。『better相続登記』は、司法書士のノウハウをシステムに落とし込み、初めての方でも簡単に相続登記ができるよう開発されたWebサービスです。
親が亡くなった時に相続手続きを業者に依頼するのか自分で行うのか
親が亡くなった時の手続きについて解説しました。提出する書類などが多く、専門的な手続きもあるため、専門家に依頼される方もいらっしゃいます。
どの手続きをどの専門家に依頼できるのか、自分で行うメリットはあるのか、解説します。
親が亡くなった時の手続きを専門家に依頼する
親が亡くなってから14日以内に行う手続きは自分で行いますが、それ以降の手続きの多くは専門家に依頼することができます。
戸籍謄本の収集や相続人の調査、遺産分割協議書の作成は行政書士や司法書士、遺産分割のトラブルは弁護士、相続税申告は税理士、相続登記は司法書士に依頼します。各専門家によって対応できる手続きが異なるため、依頼したい手続きごとに専門家を探すこととなります。
専門家に依頼すると手続きを代行してくれるため、自分で行う手間を省くことができます。その分、費用が発生するため、多くの手続きを専門家に依頼すると相続にかかる費用が高額になりやすいです。
親が亡くなった時の手続きを自分で行う
親が亡くなった時の手続きは専門家に依頼せず、自分ですべて行うことができます。自分で相続手続きを完了できた場合、相続にかかる費用を大きく抑えられます。
遺産分割協議書の作成や相続税申告、相続登記などは知識や手間が発生します。現在では相続手続きを自分で行うためのシステムなどが開発されているため、比較的簡単に手続きを完了させることができます。
まずは自分で相続の手続きを進め、専門家に依頼しなければいけない時に依頼することをおすすめします。はじめから専門家に依頼すると費用を抑えられる機会を失い、遺産を多く残せなくなる可能性があります。
親が亡くなった時の手続きを自分で行う時のポイントや注意点
親が亡くなった時の手続きを専門家に依頼する場合と自分で行う場合のメリットなどについて解説しました。
実際に自分で手続きを行う場合、どのような点に注意すればよいのか解説します。
優先順位を決めて相続手続きを進める
親が亡くなった時の手続きは行うことが多く、優先順位を決めずに行うと手間が増えてしまう可能性があります。
まずは期限の近い行政手続きから完了させることをおすすめします。期限を過ぎてしまうと追徴課税や過料を課される可能性があるため、早めに終わらせます。
銀行口座の名義変更など、期限の無い手続きに関しては、期限のある手続きを終えてから着手しても特に問題はありません。ただし、生活などで必要な場合は、期限のある手続きと並行して行うことをおすすめします。
財産調査は抜け漏れなく行う
亡くなった親の財産は抜け漏れなく調査する必要があります。後から財産が出てきた場合、相続人同士での話し合いや相続税申告の修正などが必要になる可能性もあります。
追加で手続きが発生すると手間が増えてしまい、期限内に手続きが終わらなくなることや費用が追加で発生してしまう可能性があるため、財産調査は抜け漏れなく行うことをおすすめします。
生前贈与や名義預金など詳しく調査しなければわからない財産もあるため、相続人同士で贈与などの有無を確認し、正確な財産を確認できるようにします。
郵送などを利用して移動の手間や費用を抑える
役所や金融機関などが遠方にあり、移動が大変な場合は郵送による手続きをおすすめします。移動には費用も時間もかかるため、可能な手続きは郵送で行うと効率よく手続きを進めることができます。
ただし、郵送に対応していない手続きも一部あるため、郵送でできる手続きとできない手続きをリスト化し、できない手続きはまとめて終わらせることをおすすめします。
親が亡くなった時のために今から準備すること
親が亡くなってから様々な相続手続きを進めようとすると、手間や時間が多く発生します。相続人となる子供への負担を減らす、トラブルなく相続するなどのために、生前から準備できることについて解説します。
財産や使っているサービスの洗い出しを行う
どこにどのような財産があるのか、債務があるのかなどを親に洗い出してもらい、関連する書類を親に整理してもらうと、死後の財産調査を効率的に行うことができます。
また、メールアドレスや利用しているサービスなどのID・パスワードも記載してもらい、解約などを円滑に行えるようにしておきます。
必要のないサービスや銀行口座などは生前から解約しておくことで、相続人の手続きが減らすことができるため、解約手続きも親に行ってもらうことをおすすめします。
遺言書を作成してもらう
それまで仲の良かった兄弟が遺産をめぐり不仲になるというケースは多く発生しています。また、親が相続人以外へ遺産を渡したい場合、遺言書が無ければ適切に財産が渡らないケースが多いです。
遺産でトラブルが発生しないためにも、親に遺言書を作成してもらい、兄弟がトラブルにならないようにしてもらうことをおすすめします。
親が残してくれた遺産を多く残すならbetter相続がおすすめ
相続税申告や相続登記などを自分で行い、親が残してくれた財産を多く残したい方には、『better相続申告』や『better相続登記』のご利用をおすすめします。
質問に回答すると必要な資料が洗い出され、申告書や申請書などの書類が自動作成されます。また、専門家のノウハウがシステムに落とし込まれ、初めての方でもわかりやすいように細かく解説が記載されています。
ご興味がございましたら、メールやお電話にてお気軽にご相談ください。
監修者情報
徳永 和喜(公認会計士)
高校卒業して就職後、一念発起して公認会計士試験合格。
2018年から株式会社better創業メンバー取締役としてbetter相続Webアプリケーション開発に従事。公認会計士/税理士とエンジニアを兼務しながら、相続税申告の案件にも携わる。
2022年10月、経営統合により辻・本郷ITコンサルティング株式会社の執行役員就任。better相続事業部長として、自分で相続税申告や相続登記を行う方へより良いサービスの提供を目指している。