相続税申告書の第10表の書き方を解説
亡くなった方が受け取るはずだった退職金(死亡退職金)などがある場合、相続税申告書の第10表を作成します。
今回は相続税申告書の第10表の書き方などについて解説します。また、簡単に相続税申告書を作成する方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、『better相続申告』を使えば、申告書の書き方がわからなくても、フォームに情報を入力するだけで申告書が自動で作成されます。
目次
相続税申告書の第10表(退職手当金などの明細書)とは

相続税申告書の第10表では退職手当金などについて誰がいくら受け取ったのか記載し、課税対象がいくらなのか算出します。
死亡後3年以内に支給が確定した退職金や弔慰金、確定拠出年金などが第10表に記載する財産の対象となります。
なお、亡くなった後に受け取った退職金を記載するため、相続の発生前から退職金を年金としてすでに受け取っていた場合は第10表では記載しません。
相続税申告書の第10表に記載する財産
相続税申告書の第10表に記載する財産は以下の通りです。
- 死亡後に受け取る退職金(小規模共済掛金も含む)
- 弔慰金(社会通念上相当額を超える場合)
- 年金支払開始日前の確定給付年金・年金払い退職給付・中小企業退職金共済制度・小規模企業共済制度(死亡後3年以内に支給が確定したものに限り適用が可能)
- 在職中に受給権が発生した確定拠出年金(死亡後3年以内に支給が確定したものに限り適用が可能)
なお、弔慰金は以下の条件に当てはまった場合、相続税の対象となります。判断が難しい場合は税務署や税理士にご相談ください。
- 被相続人の雇用主(会社)などから名目上は弔慰金となっているが、実質上退職手当に該当する
- 被相続人の死亡が業務上の死亡の場合は被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額、被相続人の死亡が業務外の死亡の場合は被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額を超える
相続税申告書の第10表の書き方
相続税申告書の第10表は「1.相続や遺贈によって取得したものとみなされる退職手当金など」と「2.課税される金額の計算」で構成されています。
「1.相続や遺贈によって取得したものとみなされる退職手当金など」では受け取った死亡退職金の種類や相続人ごとに行を分けて記載します。
「2.課税される金額の計算」では死亡手当金などの非課税枠の対象となる人ごとに受け取った死亡手当金などの情報を記載します。
「1.相続や遺贈によって取得したものとみなされる退職手当金など」

「1.相続や遺贈によって取得したものとみなされる退職手当金など」には誰がいくら退職金を受け取ったのか記載します。
ここでは、法定相続人以外の方や相続放棄した方が受け取った死亡手当金などの情報も記載します。
なお、5行しか記載欄がないため、5行を超える場合は第10表をもう一枚用意し、そこへ記載します。
勤務先会社等の所在地

死亡手当金などを支給した会社などの所在地を記載します。
勤務先会社等の名称

死亡手当金などを支給した会社などの名称を記載します。小規模企業共済などの団体から受け取った場合は団体名を記載します。
受取年月日

死亡手当金などを受け取った年月日を記載します。通帳の明細や支給通知書で受取日を確認できます。
西暦でも和暦でも、記載はどちらでも構いません。
退職手当金などの名称

支給された死亡手当金などの名称を記載します。「退職金」「功労金」「弔慰金」など、支給された名称から判断して記載しましょう。
受取金額

死亡手当金などの支給額を記載します。
弔慰金が相続税の対象となる場合、以下を除いた金額を記載します。
- 被相続人の死亡が業務上の死亡の場合は被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
- 被相続人の死亡が業務外の死亡の場合は被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
受取人の氏名

死亡手当金などを受け取った方の氏名を記載します。法定相続人の方はもちろん、法定相続人以外の方や相続放棄した方の情報も記載します。
「2.課税される金額の計算」

「1.相続や遺贈によって取得したものとみなされる退職手当金など」を記載したら、下部にある「2.課税される金額の計算」で相続税の課税対象となる金額を算出します。
なお、法定相続人以外の方や相続放棄した方の情報は、ここでは記載しません。
退職手当金などの非課税限度額

相続税における退職手当金の非課税限度額を算出します。非課税限度額は500万円×法定相続人の数で算出します。法定相続人の数を記載し、Aにその計算結果を記載します。
法定相続人の数の方が相続放棄した場合でも法定相続人の数には含めます。相続の欠格や排除があった方は法定相続人の数には含みません。
また、被相続人に養子がいる場合、実子の数によって税法上、法定相続人に含める人数が異なります。実子がいる場合は養子1人まで法定相続人に含める、実子がいない場合は養子2人まで法定相続人に含めることになります。
退職手当金などを受け取った相続人の氏名

退職手当金などを受け取った相続人の氏名を記載します。法定相続人以外の方や相続放棄した方の氏名は記載しません。
受け取った退職手当金ごとに記載するのではなく、相続人ごとに記載します。
受け取った退職手当金などの金額

受け取った退職手当金などの金額を記載します。受け取った退職手当金ごとに記載するのではなく、相続人ごとに受け取った金額の合計を記載します。
非課税金額

退職手当金などの非課税金額を相続人ごとに算出し、記載します。非課税金額は受け取った退職手当金などによって按分されます。計算式は以下の通りです。
A(退職手当金などの非課税金額の合計)×各人の①(各人が受け取った退職手当金などの金額)/B(非課税枠の対象となる人が受け取った死亡退職金などの総額)
例えば、死亡退職金などの非課税金額の合計が1,500万円、母が2,000万円、子が1,000万円の死亡退職金を受け取った場合、母と子の非課税枠は以下のようになります。
母:1,500万円×2,000万円/3,000万円=1,000万円
子:1,500万円×1,000万円/3,000万円=500万円
各相続人の非課税金額を算出したら、一番下に合計金額を記載し、Aと一致するか確認します。
課税金額

「受け取った退職手当金などの金額」から「非課税金額」を引いた金額を記載します。相続人ごとに記載し、合計金額を一番下に記載します。
相続税申告書の第10表から第11表に転記する方法

相続税申告書の第10表を作成したら、算出された数字を第11表の付表4へ転記します。なお、令和6年1月以降の様式から記載方法が大きく変わっています。
第11表の付表4は「財産の明細」と「分割が確定した財産」に分かれています。
財産の明細
一番左に項番を記載します。2番目に書く場合、項番は「2」となります。
左から2番目の「細目」の欄に「退職手当金等」と記載します。
左から3番目は会社名を記載しますが、空欄でも構いません。左から4番目の「価額」に課税対象となる死亡手当金などの総額を記載します。
分割が確定した財産
「財産を取得した人の番号」と「取得財産の価額」を記載します。
「財産を取得した人の番号」は第11表の項番に合わせて記載します。
「取得財産の価額」は第10表で算出した課税金額を転記します。なお、法定相続人以外の方や相続放棄した方が受け取った死亡手当金などは、受け取った金額をそのまま記載します。
相続税申告書の第10表から第15表に転記する方法

相続税申告書の第9表から第11表を転記したら、第15表へも情報を転記します。
第15表の㉖に課税対象となる金額を記載します。
相続税申告書の第10表を作成する際の注意点
ここからは相続税申告書の第10表を作成する際に注意する点について解説します。
死亡保険金と死亡退職金の非課税枠は別枠
死亡保険金と死亡退職金は、どちらもみなし相続財産です。
しかし、非課税枠はそれぞれ別々に適用できるため、合算しないように注意しましょう。
例えば、法定相続人が1名で、死亡保険金500万円と死亡退職金500万円を受け取った場合、「合算して1,000万円だから、1,000万円-500万円=500万円が課税対象」ではなく、「死亡保険金500万円-非課税枠500万円=0円、死亡退職金500万円-非課税枠500万円=0円」とします。
生前に退職し、退職金をすでに年金で受け取っている場合は第10表に記載しない
企業によっては退職金を年金として受け取っていることがあります。
亡くなる前に退職金を年金形式で受け取っていた場合は、非課税枠の適用はできません。
未支給分を遺族の方が受け取った場合、受け取った遺族の一時所得となり相続税ではなく、所得税の対象となります。
また、支給額が生前に確定している場合は「本来財産」となり、退職手当等の非課税控除の適用はありません。
なお、死亡退職金を遺族年金として受け取る場合は、退職手当金とみなされ非課税枠の対象となるため、第10表へ記載します。
相続税申告書第10表の入手・ダウンロード方法

国税庁のホームページでPDF形式の相続税申告書の様式をダウンロードすることができます。第9表だけでなく、他の申告書もダウンロードできます。
また、税務署でも申告書をもらうことができます。
令和6年分以降に亡くなった場合は令和6年様式をダウンロードする
相続税申告書は年度によって様式が異なることがあります。亡くなった年分ごとに適切な様式を選び、そこへ記載することになります。
令和6年分以降に亡くなった場合は、令和6年分様式の相続税申告書を作成します。様式が変わった場合は、亡くなった年分に合わせた様式で作成しましょう。
国税庁のホームページには相続税申告書作成コーナーがない

確定申告は国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」から簡単に申告することができますが、「相続税申告書作成コーナー」はありません。
そのため、簡単に相続税申告書を作成したい場合は民間のソフトを利用することになります。
e-taxで申告書を作成することもできますが、パソコンにソフトをダウンロードし、申告書の書き方を調べた上で数字を入力する必要があります。自動計算機能はないため、手書きとの違いはパソコン入力できるかどうか程度です。
また、e-taxは共同で申告書を作成することはできず、相続人ごとに申告書を作成することになるため、相続人が多ければ多いほど手間も時間もかかります。
国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もない
国税庁のホームページにはエクセル形式の相続税申告書もありません。PDF形式になるため、パソコンで入力したい場合はPDF編集ソフトが必要です。
エクセルで申告書を作成したい場合は有料ソフトを購入することになります。しかし、士業向けに作られたものが多く、解説もほとんどないため、申告書の書き方や財産の評価方法などを把握していなければ正しい申告書を作成できません。
相続税申告書をパソコン入力で作成するなら『better相続申告』がおすすめ
自分で簡単に相続税申告書を作成したい場合は『better相続申告』のご利用をおすすめします。
解説を見ながらフォームに情報を入力すると相続税申告書が自動で作成されます。相続税や非課税枠の計算も自動で行われるため、ミスを抑え、手間や時間を省くことができます。
何をすればいいのか調べる必要はなく、画面に表示された案内の通りに財産調査や必要書類を収集し、情報を入力すれば申告書が完成します。
財産調査も税理士が質問するような内容となっているため、税務署が気にする財産に気づき、申告漏れによる税務調査リスクを軽減できます。
また、書類のリストアップ機能もあるため、抜け漏れなく書類を収集し、税務署へ提出することもできます。







